近年、起業しやすい職業として注目されているのが探偵業。すでに多くの方が開業していますが、一方でお客さんを集客できなかったり、できていても赤字になってしまい廃業している事業者も少なくありません。
そこで、なぜ、探偵業は起業しても失敗しやすいのか理由をリストアップしたので、これから開業する方は参考にしてもらえれば幸いです。
探偵業の起業が失敗しやすい理由
競合が多すぎる
まず探偵業は競合が多すぎることです。全国に6000社以上です。牛丼チェーン御三家の合計よりも多いです。顧客単価が違うと言えど、果たして牛丼業界TOP以上に探偵業に需要があるかといえば、当然ですがありません。その中で全国に6000社がしのぎを削っているのですから失敗する方が自然です。
事業形態 | 探偵業の数 | 市場規模 |
---|---|---|
個人事業主 | 4,648件 | 37億円 |
法人 | 1,731件 | 752億円 |
レッドオーシャンの業界としては探偵業の他にも以下があります。参入障壁が低く競合が多い業界は基本的に儲からないです。
- 整骨院・整体院
- 美容室
- エステ
- 飲食店
- 行政書士
- 結婚相談所
- 格安引越し
- 軽貨物/宅食
- ハウスクリーニング
- ホームページ制作会社・Webデザイナー
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店舗ビジネスだけど集客しにくい
集客の難易度は比較的低いと言われるのが店舗ビジネスです。店舗があれば、看板や内装を見て、お客さんが見つけて、ふらりと立ち寄ってくれます。
しかし、探偵事務所の場合には雑居ビルの上の階に店舗を構えることが多いです。少なくとも路面で事務所を構えている探偵事務所・興信所は全国的にも少ないです。仮に路面店にあったとしても、ふらっと立ち寄る業種ではありません。しかし駅から遠いなど、あまりにも辺鄙(へんぴ)な立地だと、お客さんが交通の不便さを感じて他の事務所に行ってしまいます。
せっかく固定費である家賃を支払っても、集客に貢献してくれません。開業後しばらくは経費だけ発生する期間が続くのが探偵業の辛いところです。
かといって、最初は店舗を持たずに… という訳にもいかない業種です。
単発案件が多い
探偵業の多くは個人の浮気調査です。すでに黒の可能性が高く、離婚などのアクションをとるための証拠集めとして、利用されます。
確かに動く金額は大きいのですが、所詮はスポット案件です。ビジネスは単発の案件ではなくリピートしてくれる顧客を見つけなければ安定しません。浮気調査は一度限りのフロー型の収入源です。定期的に発注してくれるストック型収入を作りにくいのが探偵業が失敗しやすい大きな理由です。
中には盗聴器調査や企業調査などのリピート率が高い企業案件もあります。しかし企業案件を獲得するためには、法人営業スキルが必要となります。探偵業を志す人は、会話が苦手だったり、社会不適合的な性格を自覚している方も多いです。普通の会社勤めが難しくて探偵を目指した方がいるので、法人営業が向いていない方もいます。
探偵学校・フランチャイズ経由で気軽に独立してしまった
探偵業界は探偵になるための探偵学校やフランチャイズが募集されています。基本的にスクールを開講していたり、フランチャイズを募集している業界は儲かりません。
本当に誰でも簡単に儲かる業界であれば、競合会社を増やすようなことはしないです。参入障壁が低くしているのは、仮に参入してきても諦めて業界から撤退していく目星がついているからでしょう。
スクールやフランチャイズで競合を生み出す環境を構築しているということは、ライバルにならないからビジネスとして金ヅルにしているからです。開業したものの失敗しつつある方はスクールビジネス・フランチャイズビジネスに搾取されたのかもしれません。
全国に6000社も探偵事務所があるのはスクール・フランチャイズの闇かもしれません…
地方ではビジネスとして成立しにくい
全国に探偵事務所は存在しますが、実際にビジネスとして成立するのは都市部のみです。ある程度お金に余裕がある依頼者がいなければ成立しないため経済水準が低い田舎では成り立ちません。
また不倫で離婚など、世間体が気になる地方では、黒の可能性を感じていても行動しにくい環境も、探偵の需要が低くなる要因に起因しています。
地方でもやりようによっては探偵業で生計を立てられますが、難しいようであれば、商圏を切り替えたり、浮気調査以外の強みのサービスを開発しなければなりません。
格安路線が難しい
新規でビジネスを始める場合には料金を格安にして勝負するのは、どの業界でも常套手段です。
しかし、探偵業の場合はそもそもの料金が数十万円どそれなりのサービス料が必要となります。たかが浮気調査で、この料金を出せる人であれば、品質を求めて、絶対に失敗しないような実績の高い探偵事務所に依頼します。
格安探偵事務所は存在はするものの、ビジネスとして成り立ちにくいです。
また完全成果報酬型とか金銭的にローリスクを謳いながら、中途半端な結果で課金する闇ビジネスをしている事業者もあるので参考にしてみてください。
Web広告では大手に勝てない
現代社会での集客方法はインターネット広告が中心です。
しかし、Web広告はお金を出せば誰でも同じように集客できるため基本的に広告予算が多い事業者が勝ちやすいです。特にリスティング広告の売れ筋キーワードはクリック単価が数千円のように高騰しています。
リスティング広告とは、インターネット上の検索エンジンやウェブサイトに表示される広告の一種です。
ユーザーが検索したキーワードや閲覧したページの内容に関連する広告が自動的に表示されます。リスティング広告のメリットは、ユーザーの興味やニーズに合わせて広告を配信できることや、クリックされた回数に応じて料金が発生することです。
リスティング広告はクリックに応じて広告が発生するので費用対効果が高い広告手段としてインターネット黎明期には重宝されていました。
しかし、現在はリスティング広告単価が高騰しています。リスティング広告単価が高くなると広告予算が大きくて、様々な広告媒体に出稿して、トータルで考えて勝てればOKという大手探偵事務所には太刀打ちできません。
また本業がITリテラシーが高い調査会社なので、競合の無駄クリックとかの嫌がらせなどの対策もしなければなりません。広告予算を投下するのであれば、赤字にさせないための勉強が必要になります。
信頼性の担保が難しい
探偵事務所はグレーな仕事もしているように見えて、社会的信用が低いようにいられてしまいます。
探偵事務所の中には代表やスタッフが行政書士・司法書士免許を取得していたり、弁護士法人と業務提携して、信頼できる会社だと思ってもらえるように色々と工夫しています。
また離婚や裁判となると法律家の専門知識があるので、実務の段階から法律家が入っていた方がよく、その分社内に法律の知識があるスタッフがいたり、弁護士事務所と業務提携していたりします。
開業してすぐの探偵社だと、信用構築がまだまだ不足しているため他の探偵社よりも安心材料が少ないです。多額のお金を支払う必要があるために、依頼主としても、なるべく組織として安定している探偵事務所に依頼したいため、避けられやすいです。
近隣に弁護士事務所で探偵業をやっていたりしたら、太刀打ちできないのだ…
一人で営業しにくい
探偵事務所は一人でも独立開業できるももの、個人だけだとできる操作の範囲が限定されます。グループで捜査している探偵事務所には追跡能力で勝てまん。サービス的に劣ってしまうことから選んで貰えなくなります。
また最低賃金は上昇していますが、人件費高騰により人材難で優秀な人材が獲得できません。アルバイト・パート調査員の平均時給は1000円程度です。創業仕立ての零細探偵事務所で働きたい人も少ないです。
雇われ調査員だと、生活はカツカツなので、独立するしかありません。しかし独立するとお客さんを自分で獲得しなければならないというジレンマに陥ります。
結婚している人が減っている
日本は少子化・未婚化の問題が叫ばれていますが、子供・おまけにシングルマザーの二人に一人が貧困に陥るようなデータも有名になってきて、最近は「不倫がバレる = 即離婚」とはならない時代になってきました。
離婚して取れる慰謝料なんて結婚している時と比較すれば大した金額ではありません。現行の法律だと慰謝料から逃げられる可能性もあります。女性としても高い探偵料を支払って不倫を証明して離婚してより不幸になっている未来も待ち受けています。
バイクや機材などの備品が必要
探偵業務には自動車やバイクなどの車両が必要となります。特に尾行に機動力を求めるのであれば、バイクは重要です。ビデオカメラなどの撮影機材も必要です。
家賃だって当然必要です。探偵事務所はオンラインでは開業できません。個人の支払い額として動く金額も大きいので、オンライン対応という訳にはいきません。固定費としてお客さんが訪問しやすい立地に事務所を構えておく必要があります。開業間もない状況ではお客さんもいないので家賃が垂れ流しで精神的にもキツいです。
自宅でパソコン一台でできるビジネスと比較すると、探偵業は外で活動している時間が長く、必要経費も大きい業種です。
無駄な出費が多い
その他、探偵業は計算しにくい変動費もあります。
探偵が独立開業しても失敗しやすい理由 まとめ
スクールやフランチャイズが成り立っている業界は基本的に集客が大変な業界です。
探偵は個人で自営業者としても開業はできますが、信用第一なので、自営業のままだと厳しい業界です。動いているお金が圧倒的に法人が多いので、なんとかして法人成りを模索しなければならず、自分一人と家族が細々と食べていくに十分みたいな方には向いていないです。
人件費や機材費・事務所家賃も必要となりますし、集客が大変なので経営センスが求められる難易度が高いビジネスです。
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