便利屋業を始めたけど、儲からなくてお悩みの事業者も多いのではないでしょうか。
便利屋は令和現在の日本においては収益を上げるのが難しいビジネスモデルの一つとされています。便利屋が儲からない理由を解説したいと思います。
参入障壁が低すぎる
便利屋は参入障壁が低い商売の一つです。昭和から00年代までは便利屋業からスタートして、資本の必要な店舗ビジネスなどステップアップしていくのが王道の一つでした。
資格や専門スキルが必要な訳でもなく自分の体一つで始めることができる便利屋業は、事業を起こしたい野心溢れる人には都合が良い商売です。それは令和現在でも変わりはありません。
なにかビジネスを始めたいけど「お金もスキルも人脈もない」という方が一番最初に脳裏をよぎる選択肢の一つが便利屋です。実際に便利屋として事業をスタートさせる行動力がある方は少数派ですが、潜在的になんでも屋を考えたことがある人は社会人(特に男性)であれば多いでしょう。
よって気軽に参入しやすいことから競合が多いのが便利屋業界です。参入障壁が多いとお客さんの獲得競争のために価格下落圧力も発生しやすく、業界全体として儲けにくくなりやすいです。
便利屋業であれば、合わせてミツモアのような無料で使える集客サイトには登録しておきましょう。便利屋業とミツモアは相性が良いと評判です。
専門家が簡単に見つかる時代になった
便利屋がビジネスとして通用したのは、専門ジャンルの事業者が「ほとんどいなかった」または「探すのに手間がかかった」時代においてです。
2000年代までであれば、まだまだ地域の専門ビジネスを探すことが難しくことが難しかったです。ですので、いろいろな仕事を受けてくれる便利屋の需要が大きかったです。
しかし、2000年代は多くのネット企業が台頭しました。今も続くような飲食店やホテルの予約サイトなどが誕生しました。2010年代になると、便利屋がしているようなニッチ産業にも多くのポータルサイトが誕生しました。
現在は以下のような専門ポータルサイトがあり、わざわざ便利屋に依頼しなくても、専門家を探した方がよっぽど効率的です。
- 家事代行
- ハウスクリーニング
- エアコン掃除
- 引っ越し業
- 家具の運搬・不用品の回収
- ベビーシッター
- 水回りのトラブル
- 電気・水道工事
- 浮気調査などの探偵業務
- 遺品整理・生前整理
- 特殊清掃
- 害虫駆除・害獣駆除
- お庭のお手入れ
- お墓の清掃
- 盗聴器調査
- ビラ配り・ポスティング
ハウスクリーニングや格安引越は便利屋業から派生して、今では専門ジャンルとなりました。便利屋はビジネスが細分化されていなかった、少し昔のビジネスです。
便利屋の集客サイトが存在しない
上記のようにそれぞれの専門業種の集客サイトは数多く登場しています。しかし、便利屋の場合はそもそも集客サイトが存在しません。
厳密に言えば便利屋の検索サイトは存在していますが、他の専門集客サイトと比較すると個人サイト〜零細法人の運営ばかりです。
便利屋のポータルサイトはセグメント的に微妙だということで、どこの法人も力を入れないのでしょう。
上でも申したように専門業者があるので、わざわざ便利屋に依頼するようなカテゴリが令和現在はほとんどありません。便利屋の社会的な必要性は薄れつつあります。
便利屋がWeb集客をする場合には自力集客しなければならず、それが便利屋の新規お客さんの獲得が難しく、儲からない要因の一つとなっています。
便利屋業に将来的な可能性を感じている方であれば自分で総合ポータルサイトを作成してしまうのもいいかもしれません。可能性があればの話ですが…
便利屋は専門性が低いと思われやすい
上記のように便利屋業が盛り上がりが見せない要因の一つに。専門性が低いように外部からは見えてしまうことです。何でもできるが、深い専門性が乏しく器用貧乏な印象を受けてしまいます。
たとえば、普段は「草むしり」「買い物代行」などの軽作業系の作業代行をしている事業者がエアコンの掃除を依頼しても、クオリティの高い仕事をしてもらえるかどうかは怪しいです。普段していない作業をお願いして、ヤラかされても困ります。
エアコンクリーニングを依頼するのであれば、専門業者に依頼した方が安く、失敗せず高品質に仕上げてくれる期待値が高いです。
便利屋というのは何でもできるイメージがある反面、やっぱり素人の延長線上であれり、もしかしたら、トラブルを起こされてしまう可能性もあるので、専門業者が存在するなら、そちらにお願いした方が絶対にお得です。
SNS集客がやりにくい
新規のお客さんを獲得するのであれば、チラシではなく以下のようなSNSツールを駆使するのが、令和現代では王道となっております。
チラシは現在も王道だけど、効果が薄れているのだ。
特に動画集客のYouTubeと拡散性が強いTwitterは強力なツールとなるのですが、アンチ(営業妨害してくる人)も発生しやすいです。便利屋は器用貧乏であり、コンテンツを投稿してくると他の特化型の専門家から舐められやすく横やりが入りやすい業種です。
ユーチューブはコメント欄をコントロールできますが、Xではブロックするぐらいしか対応策がありません。
匿名性だからか全体的に他のSNSより他者に心が狭い発言が多い印象を受けます。
便利屋はコストパフォーマンスもイマイチ
便利屋業は様々な業種に対応できるのですが、依頼側からすると料金がイマイチな場合があります。
「たしかに、この料金でこんなに作業してもらえるの!?」と感激されるジャンルもある一方で、この時間単価であれば、専門業者に依頼した方が安上がりというケースもあります。
特に専門がある分野は専門業者同士で集客でバチバチに競っているので、他社よりも強みとして料金の値下げ戦略を実施する場合も少なくありません。
プロの専門業者の方が安く、セミプロレベルの便利屋の方が見積もりを取得すると高額な金額になるなど矛盾が起こります。
特にハウスクリーニング・エアコン清掃・家事代行は専門業者を探しやすく、絶対に専門業者に依頼した方が満足度が高いです。
リピート顧客を集客しにくい
なんでも屋の仕事というのは「簡単な荷物の移動」や「虫一匹の駆除」など本当にざっくばらんな作業があります。しかし、そういったスポット的な案件で発注した人というのはリピートしてもらいにくいです。
これが家事代行や清掃業務などであれば、定期的にお金を落としてもらえる可能性がありますが、なんでも屋の案件の中には、もう二度と関わらないような案件も少なくありません。
移動を考えると、いくら簡単な案件といえど1時間分の報酬しかもらえないお客さんで二度と発注が見込めないような仕事で時間を消耗しても儲かるシステムを構築することができません。
見積もりを間違えやすい
なんでも屋ではお問い合わせ時に顧客の言い分を聞いて見積もりを出す場合があります。その場合聞いてみたら、結構簡単そうだったのに、実際に作業してみると思いの他、重労働だったり時間がかかったりする場合があります。
作業を開始すると「暑いけど窓を開けないで」など事細かに指示される場合があるのだ。酷いのだ…
なんでも屋の場合には、もう人生で二度と出会わないようなレアお仕事も多数発生するので、見積もりが普通のお仕事よりも難しい部分があります。またお客さんが説明を省略したり都合よく説明して、結局のところ割にあわない仕事になってしまう場合もあります。
また他の関連業と比較して法人案件が少なく、個人の発注が多いのでしょっぱい案件が全体的に多いです。
便利屋というのは文字通り便利に扱われて、精神的にも肉体的にも疲弊してしまう場合もあります。
対応できるカテゴリが多すぎる
対応できるカテゴリが多すぎると便利屋は逆に儲かりません。
上でも述べられているようになんでも屋はもはや、何でもする。そんな特長がない業者に客はきません。
なんでも屋に求められているんは何でも屋ではなく、他の専門業者がいないニッチ産業でのお仕事です。
専門分野がある業種は削る(ホームページから削除)を検討した方が、逆に専門性が分かりやすくなり、反響が高くなる可能性があります。
ただし、専門業者がいる家事代行、ハウスクリーニング、引っ越し作業などは数は少ないながらも年に何度か案件を受注できており、重要な収入源の場合もあると思います。
その場合ホームページから削除するのがもったいない場合には別に屋号やWebサイトを作るなどして、外部からみると専門家っぽくみえるように対策してみてください。
田舎で営業している
便利屋業はどちらかと言えば、都市部で成立する事業です。地方で開業した場合には儲かりにくいビジネスです。田舎はなんだかんだで、地域住民がお互いに無料でお手伝いをしていたりします。
若い人であれば、そのような相互補助の関係が薄れている場合もありますが、地方の田舎はそもそも経済力が低く便利屋に依頼する発想がない場合が多いので、なんでも屋の見込み客が少なく将来性はありません。
田舎で唯一便利屋業として可能性があるのは、エアコンクリーニングなど自分でやりにくい一部の業種です。
バックエンド商品を持っていない
便利屋業で稼いでいる方の中には、バックエンド商品を持っている場合があります。
たとえば便利屋は不動産関係が本業の方がやっている場合があります。便利屋は不特定多数のお客様のお宅にお上がりする仕事で、信頼性も構築しやすいので、リフォームや屋根の修理など様々な高額不動産系サービスを売るキッカケを作りにしやすいです。
便利屋の案件自体はしょっぱい案件が多く「小学生の小遣いか!」と思ってしまうことも多いですが、たまに大きな売上につながるような仕組みを持っている場合は儲かる体質に転換できます。
自分で高額サービスを作ることができなくても紹介料で稼ぐ方法もあるで。
フランチャイズに加盟しておりロイヤリティを払っている
便利屋業を開業した方の中には、便利屋系のフランチャイズに加盟して開業した方もいるのではないでしょうか。フランチャイズはノウハウを教えてくれたり、屋号を使わせてくれたり、様々なメリットもあります。
しかし、デメリットとして毎月の固定費が発生したり、備品の購入や売上に対して手数料を取られる場合もあります。
便利屋は基本的に自分の身一つでできる商売ですし、現状として儲かっていないと売上の課題がある事業者であれば、本部がお客さんを紹介してくれる訳でもないと思います。
そうなると、果たして今後もそのフランチャイザーの加盟店として営業するのではなく、完全な一国一城として経営した方が経営は安定する可能性があります。
便利屋でも売上のロイヤリティで半分以上持っていくような、悪徳なフランチャイザーもいるで。
便利屋業 = 清掃案件が多い
清掃業を制する者が便利屋業を制すると言っても過言ではありません。便利屋業で創業するということは清掃業で生きていくことです。
「掃除が得意ではない」
「案件の種類として清掃系が嫌い」
「人探しとか、レンタル彼氏とかもっと面白い仕事がしたい」
という方であれば、経営を安定させることは難しいです。便利屋業以外で専門的な職業を模索した方が懸命かもしれません。
【開業しても失敗…】便利屋が儲からない13の理由
- 参入障壁が低い
- 専門家が簡単に見つかる時代になった
- 便利屋の集客サイトが存在しない
- 便利屋は専門性が低いと思われる
- 料金的なコストパフォーマンスもイマイチ
- 高いロイヤリティを払っている
- 対応できるカテゴリが多すぎる
- 田舎で営業している
- SNS集客がやりにくい
- 便利屋業 = 清掃案件が多い
昭和〜平成初期であれば、便利屋はお金も専門スキルもない人間が自分の体一つで事業を起こすには最適なビジネスの一つでした。
しかし、現在はインターネットでのビジネスマッチングサイトが増えました。便利屋は一昔前の商売であり、儲かりにくいビジネスモデルです。
便利屋が生き残る術としては、何でも対応できるなんでも屋ではなく、なにか一つでも自信を持って他社とは違うと言える、特化型のモデルです。ハウスクリーニングなど自分の強みとなる部分を磨いて特化型にしていくか、本当に誰もライバルがいないニッチな業種を探すかの戦いになります。
便利屋業であれば、合わせてミツモアのような無料で使える集客サイトには登録しておきましょう。まずは口コミを集めて、将来的に高単価サービスを提供すれば純利益が伸びます。