Photoshop (フォトショップ)を使いたいけど、Adobe Creative Cloud(通称Adobe CC)の月額利用料金が高すぎで、ライトユーザーにとっては購入する敷居が高いと感じてしまう、今日この頃。
筆者も、プロのデザイナーほど画像編集ソフトを頻繁に使う機会がある訳ではないので、毎年高額なAdobe税を支払うべきかは悩みの種でした。そこで、Adobe Photoshop Elements(アドビフォトショップエレメンツ)に手を出してみたのですが、結果的に金の無駄となりました。その理由を共有したので参考にしてもらえれば幸いです。
結論を先にいえばPhotoshop ElementsよりもAdobe CCで通常のPhotoshopの操作を覚えた方が幸せです。
Adobe CCはライセンス料が高いですが、裏技でデジハリAdobeなどのCC付き通信講座に申し込みすると激安で入手できます。
PhotoshopとPhotoshop Elementsの違いが多すぎる
筆者はPhotoshopを購入する時には、本家Photoshopにいくつか機能制限がかかっているぐらいの認識でいました。しかし、いざ購入してみるとご覧の通り全く別のソフトです。

ソフトを起動してみると、UI(ユーザーインターフェイス)が前時代的で、なんと言いますか、「アドビさん、やる気がないなー」っていうのが、第一印象です。
ツールバーも以下の機能しか用意されていません。

ツールバーの機能一覧 |
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ズーム/手のひら/移動/長方形選択/なげなわ/クイック選択/アイ(目)/スポット修正ブラシ/スマートブラシ/コピースタンプ/ぼかし/覆い焼き/ブラシ/消しゴム/塗りつぶし/グラデーション/カラーピッカー/長方形/横書き文字/鉛筆/切り抜き/再構成/コンテンツに応じた移動/角度補正 |
Adobe Photoshop Elementsは家族写真を編集するとか、超ライトユーザー向けにターゲットとされています。特徴的な機能としては以下が用意されています。

基本機能 | 機能の説明 |
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明るさとコントラスト | 簡単に写真の明るさとコントラストを修正 |
肌色補正 | カラーキャスト(色かぶり)を削除して肌色を整える |
写真を切り抜き | 写真の端をトリミングして構図を整える |
レベル | 写真の明るさ、コントラスト、色調範囲を調整 |
明るさを調整 | シャドウ、ハイライト、中間トーンを調整して露光量を整える |
オブジェクトを移動して拡大・縮小 | オブジェクトを簡単に選択してサイズ変更 |
オブジェクトの削除 | 不要なオブジェクトを削除 |
写真サイズの変更 | 写真のプリントや Web投稿に適したサイズに変更 |
回転と角度補正 | 写真の水平を簡単に整える |
シャープ | 写真を先めいにし、透明感を与える |
ビネット効果 | 写真の四隅を暗くして被写体を強調 |

カラー機能 | 機能の説明 |
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カラー | 写真のカラーを微調整や強調 |
ロモカメラ効果 | 簡単に高コントラストの高彩度ロモカメラ効果を与える |
カラーバランス | 望ましくない色合いを取り除いて、その写真を本来の色彩を取り戻す |
高彩度フィルム効果 | 写真に高彩度の古いスライドフィルム効果 |

白黒機能 | 機能の説明 |
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白黒 | 手早く白黒に変換 |
白黒:カラーの強調 | 一色だけ目立たせる |
白黒:選択 | ハイライトしたい範囲だけカラーを維持 |
ハイキー | 写真に明るい効果 |
写真から線画を作成 | 鉛筆スケッチに変換 |
ローキー | 暗く陰気な効果 |

楽しい編集機能 | 機能の説明 |
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二重露光 | ある写真を別の写真の中で活かして非現実的な効果を生み出す |
ダブルトーン効果 | 写真にカスタムのダブルトーン効果を適応 |
効果のコラージュ | 複数の効果を加えた複雑なコラージュ |
ミームメーカー | 写真をSNS拡散用にテキストを追加 |
マルチ写真テキスト | 各文字の中に異なる写真を含んだビジュアル作成 |
昔風の写真 | 昔風に仕上げて時代を過去に遡らせる |
枠からはみ出させる効果 | 3D効果で写真をフレームから飛び出させる |
絵画風 | 写真に芸術的な絵画エフェクト |
部分スケッチ | 一部をスケッチ化 |
パターンブラシ | クリエイティブなスパークルを追加 |
写真テキスト | 写真をクールなビジュアルに仕立てる |
写真のスタック | クリエイティブなコラージュに仕上げる |
ポップアート | 写真を楽しくてカラフルなポップアートに仕上げる |
パズル効果 | ジグゾソーパズルに変換 |
反射 | 反射を加えて面白みのある見た目に仕上げる |
シェイプオーバーレイ効果 | 模様で写真の一部をフィルタリング |
スピード効果 | モーションブラーを使用して動きを加える |
スピード撮影効果 | 背景にモーションぼかしを加えてスピード感を演 |

特殊編集機能 | 機能の説明 |
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被写体深度 | 背景をぼかして被写体を目立たせる |
フレーム作成 | 独自のデザインからフレームファイルを作成 |
オートン効果 | 写真に夢の中のような柔らかい見た目を与える |
理想的な風景 | 空の置き換え、かすみの除去、不要なオブジェクトの消去 |
美肌補正 | 肌の質感を調整して美しいポートレイトに仕上げる |
再編成 | 写真の中のオブジェクトを自然に移動 |
背景を置き換え | 写真の背景を変更 |
古い写真の復元 | 古い写真を修復 |
傷や汚れ | 写真の小さな傷を修復 |
テキストの境界線のオーバーレイ | 境界線やテキストで装飾 |
チルトシフト | ミニチュア効果 |
水彩画効果 | 水彩画効果 |

合成機能 | 機能の説明 |
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COMPOSE | 被写体を抽出し合成 |
EXPOSURE | 露出の異なる写真をブレンドしてライティングを高品質にする |
FACES | 複数の顔を1つにブレンド |
GROUP SHOT | 複数の写真を1つにブレンド |
SCENE CLEANER | 連続写真から動くオブジェクトを自然に削除 |
PANORAMA | パノラマ写真を作成 |
Photoshop Elementsで使えない代表的な機能
PhotoshopとElementsは、どちらもAdobe社が開発した画像編集ソフトですが、機能・価格・ターゲット層などの点で違いがあります。両者の主な違いとしては以下のような機能です。
トーンカーブが使えない
まずトーンカーブを使うことができません。トーンカーブは、写真の明るさやコントラストを細かく調整するための機能です。Photoshopでは、トーンカーブのグラフを自由に操作できますがElementsでは「カラーカーブ」という似た機能がありますが、Photoshop搭載のトーンカーブ機能とは異なります。
カラーモードのCMYKが使えない
印刷用のカラーモード「CMYK」も使うことができません。
Photoshopにはカラーモードに「RGB」と「CMYK」という2種類があります。Web用のデータでは主にRGBを使いますが、印刷物では基本的にCMYKを使います。CMYKを選んだ方がパソコンで見た時と、実際に印刷された時とで色の違いが生じにくいです。
Photoshop Elements版にCMYKモードが実装されていない理由は出版物を印刷するようなプロユースをターゲットとしておらず、家族写真を少し印刷するようなライトユーザーのためのツールだからです。
16bitモードで画像編集できない
16bitモードで画像編集ができません。bit数は、画像の色の細かさを表す指標です。bit数の値が大きいほど、同じ面積あたりに使われる色の数が多くなります。加工しても写真のきめ細やかさを保つことができます。
ぼかし機能の種類が少ない
Elements版は、ぼかし機能の種類が少ないです。
本家Photoshopでは、ぼかし加工をするときに様々なぼかし方を選ぶことができます。たとえば「虹彩絞りぼかし」という機能では、指定した位置から周囲に広がるように段々とぼかしていくことができます。これは一眼レフで撮ったようなボケ味を写真に出したいとき等に便利です。Photoshop Elementsでは、単純なぼかし機能しかありません。
EPSやMOV形式のファイルが開けない
扱うことのできるデータや保存できる画像形式が少ないです。Photoshop Elementsではベクトルデータと呼ばれるものを扱うことができません。ベクトルデータとはどれだけ拡大してもぼやけないデータのことです。主にロゴやアイコンなどに使われます。また、ベクトルデータである「EPS形式」や動画編集用の「MOV形式」などで保存することもできません。
スマートオブジェクトを使うことができません。スマートオブジェクトとは、作業中に画像を縮小・拡大を繰り返しても画質が落ちないようにする機能です。スマートオブジェクト化されていない画像は、作業中に一度でも画像サイズを小さくすると画質が落ちてしまい、元に戻らなくなってしまいます。

特にPhotoshopなのにEPSファイルが開けないないのは致命的かもしれません。というのも素材サイトの中にはEPSデータ形式で数多く販売されているからです。
HDR合成できない
HDR合成もできません。「HDR」とは明るさの異なる複数の写真を合成することで、いかにもCGらしい1枚の高品質写真を造るテクニックです。
クイックマスクモードが使えない
クイックマスクモードを使うことができません。クイックマスクモードとは選択範囲をブラシや消しゴムにより調整することのできる機能です。
写真加工や合成をするときには選択範囲を作成することがよくあるのですが、このクイックマスクモードはきれいな選択範囲を作るためにとても便利です。
Photoshop Elementsのアップグレード版の条件

Photoshop Elementsにはアップグレード版への割引も用意されています。
アップグレード版とは、既過去のバージョンをお持ちの方が、最新のバージョンに安く買い替えることができる特別ライセンスです。Premiere Elements (動画編集ソフト)とのバンドル(セット)版も用意されています。
料金 | 通常版 | アップグレード版 | 差額 |
---|---|---|---|
税抜き | 17,800円 | 11,800円 | 6,000円 |
税込み | 19,580円 | 12,980円 | 6,600円 |
税抜き(Premiereセット) | 18,800円 | 20,680円 | 1,880円 |
税込み(Premiereセット) | 24,800円 | 27,280円 | 3,000円 |
Premiereのセットだと、アップグレード版のお得感はありません。Premiereは他にも優秀な映像編集ソフトが無料で手に入るので、仮にアップグレードするならPhotohsop Elementsだけの方がお得です。
- 2020以降のバージョンを保有していること
- Adobe IDに登録している
- 過去のバージョンのシリアル番号を保有している
- Photoshop Elements 2023の製品ページに移動
- 「今すぐ購入」ボタンをクリック
- 購入オプションから「アップグレード」を選択
- 過去のバージョンのシリアル番号を入力
- 「カートに追加」ボタンをクリック
- 支払い方法や配送先などを入力して注文を完了
- ダウンロードリンクからPhotoshop Elements 2023をダウンロードしてインストール
購入したタイミング(次のバージョンが出るまじか)といった場合には、無償でのアップグレードが案内される場合がありますが、購入してからしばらく時間が経過していると無償アップグレードの案内は出ません。筆者の場合は翌年版の無償アップデートの案内の通知は届きませんでした。
Photoshop Elementsの機能比較表
Photoshop Elementsのバージョンによる機能の違いは以下のようになります。Elementsをはじめとして、一般消費者相手の製品・サポートのやる気がないとか批判されることも多いAdobeですが、一応Elementsも毎年、新機能が搭載されています。
バージョン | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|
写真の特定エリアに動きを追加 | ◯ | |||
ムービングオーバーレイ | ◯ | ◯ | ||
アーティスティック効果 | ◯ | ◯ | ||
顔の傾きを微調整 | ◯ | ◯ | ◯ | |
目、笑顔、肌など、顔のパーツを調整 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ワンクリックで被写体を選択 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
写真をカラーにする | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
自動作成 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
自動キュレーション、スマートタグ、顔認識 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
インストール、起動、パフォーマンスが高速化、Apple M1に対応 | ◯ | |||
写真を変形 | ◯ | ◯ | ||
背景を置き換える | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
オブジェクトを削除する | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
複数の写真をリミックス | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
RAW画像編集 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
のぞき見オーバーレイ | ◯ | |||
ガイド付き編集の検索機能 | ◯ | |||
完璧なペット写真 | ◯ | ◯ | ||
背景画像を補完して拡張 | ◯ | ◯ | ||
理想的な風景写真 | ◯ | ◯ | ◯ | |
ダブルトーン効果、移動と拡大・縮小 | ◯ | ◯ | ◯ | |
パターンブラシ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
webとモバイルでアクセス、表示、共有 | ◯ | |||
webでコラージュやスライドショーを作成 | ◯ | |||
MP4およびGIFとして共有 | ◯ | ◯ | ||
メッセージ入りグラフィックスでテキストを追加 | ◯ | ◯ | ◯ | |
楽しいフォトコラージュを作成 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
写真とビデオからスライドショーを作成 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
基本的に毎回新しいPhotoshop Elementsを購入することになります。初心者向けの大味のAI機能がいくつか実装されたのがアップグレード版のElementsとなりますので、今の使っているPCのOSで動かなくなるまで、アップグレードする必要がないというのが個人的な感想です。
筆者は現在Elementsの21バージョンを使用しています。無料アップグレードが案内されなかったのは残念ですが、最新の機能(写真の特定エリアに動きを追加など)も使わない可能性が高いです、
Photoshop Elementsの代替案
最初は本家Photoshopの代替として購入したElementsですが、全く別のファミリー用途の画像編集ソフトということもあり、個人的には、今後新しいバージョンを購入することもありません。現在もほとんど使っていません。Photoshop Elementsの代替案としては以下があります。
Adobe CCのアカデミック版に申し込む

まず一番最初に検討すべきなのが、通信講座付きのAdobe CCライセンスです。通信講座であれば誰でも4万円でAdobe CCのライセンスを入手することができます。自営業者(フリーランス)であれば、商用利用も規約で承認されています。
フォトプランに契約する

続いてはPhotoshopだけあれば十分という方に向けた最適なソリューションがあります。Adobe にはPhotshopとLightroomがセットになったプランがなぜか「税込み1078円(税別980円)」と単体のPhotoshopをサブスクするよりも提供されています。
実質Photoshop Elementsは1年前後で新しいバージョンが発売されていることを考えると、Elementsを買い替えるぐらいであれば、フォトプランで最新バージョンを使い続ける方がお得です。しかもLighroomも付属しているので写真の管理やRAW現像もできます。

フォトプランには1TBのクラウドストレージがついた別バージョンもあるので、注意しましょう。

Photoshop Express

Photoshopの簡易版にはElementsの他にPhotoshop Expressも存在します。Photoshop Expressはスマホ専用のフォトショップです。
Photoshop Expressは、写真をすばやく簡単に編集、補正、共有できるモバイルアプリです。Adobe Photoshopファミリーの一部ですが、iOSまたはAndroidデバイスでシンプルかつ高速に写真を編集できるように設計されています。
Photoshop Expressを使って、フィルター、オーバーレイ、テキスト、ライトリーク、その他のエフェクトを写真に適用できます。また、写真の不透明度、明るさ、コントラスト、彩度、その他の設定を調整することもできます。Photoshop Expressは、最小限の労力でソーシャルメディアコンテンツを作成するのに理想的です。
高度な編集機能が必要な場合は、カットアウト、ヘイズ除去、レタッチ、ノイズ除去などを含むプレミアム機能を選択することも可能ですが大半のユーザーにとっては無料プランだけで十分でしょう。
Adobe Express

さらに紛らわしいのですがAdobe Expressも存在しています。これはCanvaのように、サクっとテンプレートを用いて素敵な写真やデザインを素早く完成させるツールです。
Photoshop Elementsのコラージュ機能とか使うぐらいであれば、Adobe Expressに用意されているテンプレートを用いた方が、時短になり,より高品質なアートワークを作成することができます。しかも無料版でも高品質なテンプレートが多数公開されています。
正直申しまして、Photoshop Express使うぐらいなら、スマホのExpressやデスクトップPCでも利用できるAdobe Expressで十分です。どちらも無料で最新バージョンを使うことができます。
アドビ以外の代替ツールを利用する

Photoshopを始めとするAdobe製品には代替ツールが存在するケースが多いです。
Adobe製品で唯一代替ソフトが存在しないのは、映像にポストエフェクトやモーショングラフィックをかけるAfter Effectsですが、これは映像のプロクリエイター以外は不要です。よってPhotoshopのような高機能な画像編集・ペイントツールが必要な場合には以下のような選択肢もあります。
Photoshop Elements まとめ
- 不要な部分の除去
- 背景の差し替え
- 色調補正
- ワンクリック選択
- 無表情の人物を笑わせる機能
- Adobe Sensei全般
- 本家PhotoshopとUIが違いすぎて使いにくい
- 作業している時の読み込み時間が長い
- フリーズしたり、動作が重い時があり不安定
- PhotoshopなのにEPSファイルが開けない
- ElementsとElements Editorという2つのアプリに分かれている
Photoshop Elements数少ない買い切り型の方法です。しかしPhotoshopの機能制限版ではなく、全く別のソフトです。将来的にPhotoshopを使う予定であれば、フォトプランやAdobe CCのライセンス版を年間契約する方がおすすめです。
Photoshopを使う予定がないのであれば、Photshop Express、Adobe Express、GIMPのような無料や格安で使える代替ツールも検討の価値ありです。
- QPhotoshop ElementsでRAW現像はできますか
- A
はい、RAW現像は可能です。Camera Rawプラグインが用意されています。
- QPhotoshop Elementsは何台まで利用できますか
- A
1ライセンスにつき最大2台です。ただし、同時に使用できるのは1台のコンピュータのみです。またMicrosoft Storeで購入した場合は、最大10台のWindowsデバイスにインストールして利用することができます。
- QPhotoshop Elementsには無料版はありますか
- A
Photoshop elementsには無料版はありません。その代わり30日間の無料トライアル期間が用意されています。
- QPhotoshop Elementsで開けないファイル形式は
- A
EPS(Encapsulated PostScript)のようなベクトルデータを含む画像ファイルの形式は開けません。その他、MOV(QuickTime Movie)のような動画ファイルの形式も開けません。PSDは開くことができます。