経済産業省が管轄するIT導入補助金は審査が通れば返金する義務のないお金です。開業届を提出済みに個人事業主も対象となります。
会社やお店のホームページを新規作成したり、リニューアルを検討している事業者の方は、IT補助金を利用してHP作成の費用を節約したいですよね。
IT導入補助金はメリットが多く、認知度も今はまだ低いので穴場の制度なのですが、2019年からIT導入補助金はこれまで以上に難易度が高くなってしまいました。
「2020年はホームページ作成も対象なの?」
「おすすめの支援事業者(ホームページ制作会社)は?」
「そもそもIT導入補助金って何? 採択率とは?」
など様々な疑問が浮かぶと思うので解説したいと思います。
2020年版のIT導入補助金はホームページ作成にも使える?
まず気になるのが2020年版のIT導入補助金制度でもホームページ作成が対象かどうかです。
IT導入補助金はシステムのIT化によって、経営を合理化することが目的の補助金です。システムの導入がメインで会社のホームページのような、訪問者に情報を伝えるだけのWebサイトは厳密にはシステムではありません。
2017年からスタートしたIT導入補助金制度ですが、2018年までは審査がザルだったこともあってホームページ作成でもIT導入補助金を申請することは可能でした。しかし2019年からはホームページ単独では難しくなりました。2020年度でもこの流れは継続します。
顧客管理システム・在庫管理システム・生産管理システムなどなら当然IT導入補助金の適用範囲内ですが、やっぱりホームページの作成・リニューアルに活用したいたいという事業者も多いと思います。
ホームページは絶対に不可という訳ではなく、ECサイト・予約システム・ログイン機能のある会員サイト、顧客管理システムのあるWebサイトなど、データの受け渡しを行う機能が搭載されたホームページであれば、引き続きホームページ制作にも利用できます。
特にEC・決済機能は今すぐ使うことはなくても、長期的に考えると導入しておいた方がいいケースもあるのでIT導入補助金を申請するための手段として検討しておいてもいいでしょう。また顧客管理支援システムを導入したホームページにも注目が集まっています。

これまでのIT補助金のように、ホームページ作成だけで適応させたい場合には「小規模事業者持続化補助金」が上限50万円(2020年は100万円)で利用できます。
2020年のIT導入補助金の補助金額は最大450万円
IT導入補助金はまだ歴史の浅い制度で、補助額や採択率が毎年大きく変わります。前年と同じと思っていたら、全く違う制度になっていたということも起こるので注意が必要です。
特に2019年は補助金額が最大450万円と大きく上がりました。そして今年2020年(令和2年)の補助金額は類型にもよりますが引き続き最大450万円の補助を受けることができますが、A型・B型・C型の3つも種類があります。
2018年 | 2019年 | 20年(A型) | 20年(B型) | 20年(C型) | |
下限 | 15万円 | 40万円 | 30万円 | 150万円 | 30万円 |
上限 | 50万円 | 450万円 | 150万円 | 450万円 | 450万円 |
補助率 | 2分の1 | 2分の1 | 2分の1 | 2分の1 | 3分の2/4分の3 |
申し込んだ類型によって色々と必須目標などの条件が出てきたりするので、このあたりはITベンダーさんと、相談してどれを利用するかなどは決めた方がいいかもしれません。

2020年はA・B・Cの3種類ありますが、予算枠・補助率の高く、ハードウェアにも利用可能なC型をオススメしているITベンダーさんが多い印象です。
IT導入支援事業者(ベンダー)の選び方
IT導入補助金は自社だけで申請することができません。必ず経済産業省から認定されたWeb制作・システム制作会社のサポートを受けて申請する必要があります。
このIT導入支援事業者(ベンダー)として経済産業省から採択されているシステム開発会社・Web制作会社をIT導入支援業者と呼び、書類の交付申請の手伝い・システム導入後の実績報告などの各種申請・手続きサポートを行います。
2020年の申請期間は一次公募が2020年3月13日〜3月31日まで、採択結果が4月中旬です。二次公募以下は以下のようなスケジュールとなっています。
交付申請期間 | 交付決定日 | |
2021年一次公募 | 準備中 | 準備中 |
2021年二次公募 | 準備中 | 準備中 |
20201年三次公募 | 準備中 | 準備中 |
20201年四次公募 | 準備中 | 準備中 |
20201年五次公募 | 準備中 | 準備中 |
結果が発表されてからシステム開発会社・HP制作会社とは契約します。交付決定前に契約して支払ってしまった場合には対象外となります。もし認定支援機関が前年に経験したことがなく、契約の話をされた場合には注意しましょう。

2020年は公募前に購入したIT導入ツールも対象となることがあります。
その後5ヶ月以内にシステムを納品してもらい、導入実積報告を行い、補助金額が確定・交付されます。5ヶ月以内に契約・発注・支払いを完了する必要があるので、時間的にはシビアで大規模案件や制作に時間が掛かるシステムは難しいです。
このIT導入支援事業者の選び方は「IT導入支援事業者・ITツール検索」のページから検索可能ですが、以下のような点に注意して業者を選ぶことをオススメします。
採択率が高いか
IT導入補助金は採択事業者を通じて申請を行いますが、それでも平均的な採択率は3割程度と言われており、優れた実績のある事業者にお願いするのも業者選びの重要なポイントです。
行政書士事務所と業務提携しているようなWeb制作会社さんだと、高い採択率になっている傾向があるので、採択率や行政書士事務所との提携状況なども確認しておくことをオススメします。
また、IT導入補助金は2017年から始まった歴史の浅い制度ですが、今年初めてIT導入支援事業者として採択された業者の場合には手続きに慣れていないケースもあります。なるべく昨年から認定されている事業者を選ぶ方が採択率的にも期待が持てます。
Web制作の開発力はあるか
IT導入支援事業者はシステム開発やコンサルティングサービスが主軸事業でWeb制作は専門分野ではなかったり、外注に頼っているケースもあります。
外注している場合には費用も相場より高くなっているケースもありますし、社内に技術的に詳しいWebエンジニア・Webデザイナーがいないのでメンテナンスのリスクが高いです。
またIT導入補助金が使えるホームページ制作会社は、レベルが低い会社も多く認定されてしまっており、「IT導入補助金の認定支援機関」が集客手段の1つになっているような事業者もあるので、たとえWeb制作が本業であっても制作実積はしっかりチェックしておきましょう。
小規模事業者持続化補助金にも詳しいか
2019年からIT導入補助金では純粋な会社やお店のコーポレートサイトでは補助金が利用できなくなってしまいました。
その代わり、2018年までのIT導入補助金のような感覚で最大50万円が利用できる補助金として小規模事業者持続化補助金が注目されています。
IT導入補助金と合わせて小規模事業者持続化補助金にも詳しい事業者であれば、どちらが自社にマッチしているかなど、様々な選択肢から相談に乗ってもらえます。

値段の価値があるホームページか
IT導入補助金を利用してホームページを作る場合と利用しない場合の2パターンを考えておく必要があります。
たとえ費用の2分の1の金額を雑所得として受け取れるとしても、費用の割に割高で使い勝手の悪いシステムを導入したのでは本末転倒です。
たとえば一応Wixでのホームページにも顧客管理システムが搭載されているので、IT補助金は利用できるのですが、果たして自分で簡単にホームページが作れてしまうWixで、IT導入補助金を利用してHPを発注する意味があるのかどうかは疑問です。
IT導入補助金の認定支援機関に認定されているホームページ制作会社一覧
2018年までは難易度の低かったIT導入補助金ですが、2020年は補助金額が高くなる代わりに、採択率は下がり、難易度が高くなります。サーバサイドのWebプログラミングを必要とするシステムを付加する必要があり、より業者選びが重要になってきます。
そこで2020年度版のIT導入補助金の認定支援機関に認定されているおすすめホームページ制作会社を紹介したいと思うので、参考にしてみてください。

株式会社エッコ
SEO対策会社として名古屋界隈ではかなり有名なWeb制作会社です。業績好調で近年東京にも進出しました。
エッコさんでIT導入補助金の認定支援期間になっているのは「求人サイトパッケージ」「ECサイトパッケージ」です。
無料で求人広告が掲載できるIndeedの応募者管理などが行えるシステムを搭載したホームページを補助金を利用して制作することができます。
エッコさんのホームページならSEOの内部設計の品質も折り紙付きですし、Indeedの連携でIT導入補助金の認定支援機関として登録されているホームページ制作会社はほとんどありません。
また、ECサイトパッケージではメンテナンスのコスパに優れたCMSを使ってサイト構築するサービスを提供しています。
ネットショップ未経験なら、Web集客全般に強いエッコさんにWebマーケティングの支援もお願いするのもオススメです。
URL | https://www.ecco.jp/ |
住所 | 愛知県名古屋市中区大須3丁目2番15号 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | 求人特化ホームページ(Indeedに対応した採用に特化した採用最適化ツール)、EC-CUBEやWooCommerceを用いたECサイト |

株式会社あんどぷらす
Zoho Social、Zoho CRMというITツールのIT導入補助金の利用できるWeb制作会社として認定されています。
コーポレートサイト・ネットショップ・システム開発、広告デザインなど、一般的なWeb制作会社のサービスは、オールマイティに対応できる開発力の高い会社です。静岡県に拠点がありますが、全国対応です。
特にECサイトの開発は定評があり、越境ECサイトも作成できるので、ECサイトでIT導入補助金を利用したい場合には、相談してみてもいいかもしれません。
URL | https://www.andplus.co.jp/ |
住所 | 静岡県静岡市葵区伝馬町10番地25 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | Zoho Social(SNSマーケティング管理ツール)、Zoho CRM(顧客管理・営業支援システム) |
株式会社ジーニアスウェブ
顧客管理システム、採用管理、勤怠管理、マーケティングオートメーションなど幅広い業務支援システムを組み込んだWebサイト・Webシステムの開発実積のあるWeb制作会社です。
大阪に本社がありますが、東京と宮崎にも支社があり、全国対応です。
デザイン全般がしっかりしており、アニメーションも実装されており、Webデザイナー・フロントエンドエンジニアの技術力の高いです。中小企業だけでなく、大手企業のWebサイトの開発実積もあります。
Webサイトの裏側で動くサーバサイドだけでなく、Webブラウザ側のUI/UXなどもユーザーに使いやすいように追求してほしい場合に検討してみてください。
URL | https://www.genius-web.co.jp/ |
住所 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3号大阪駅前第3ビル22階 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | Zoho CRM(顧客対応・販売支援) |
カイト合同会社
Webマーケティングが強みの会社です。IT補助金関係なく普段からCRM(顧客管理システム)を組み込んだWeb制作を得意としています。
Zoho Corporation、Shopify(オンラインストア)、eFica(クラウド請求書サービス)、集客職人など様々なクラウドシステム・Webマーケティング支援サービス企業とパートナーシップを提携しています。
URL | https://www.kitebiz.net/ |
住所 | 東京都千代田区一番町13番地2 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | Zoho CRM(顧客対応・販売支援)、CRMPLUS(マーケティングオートメーション) |
株式会社リヴァイト
Webシステム開発に強い会社で普段から機能性のあるWeb制作を中心に行っています。特にEFO(問い合わせフォーム最適化)は得意分野です。
IT導入補助金の認定支援機関に認定されているのは、リヴァイトさんが自社開発している「SR-Manager」というWebシステムです。導入新着情報・重要なお知らせ・お問い合わせ管理できます。
他にも社内業務の進捗状況管理システム・顧客管理システムなどの組み込みも行え、JavaScriptなどによるフロントエンドの実装も得意な、システム開発に強みのあるWeb制作会社です。
URL | https://re-vite.com/ |
住所 | 大阪府大阪市中央区淡路町二丁目5-15 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | SR-Manager(顧客対応・販売支援) |
株式会社PULL-NET
自社開発のPULLSHOP(プルショップ)というシステムがITツールとしてIT補助金の対象となっています。
プルショップでは「新着情報」「ランキング」「メルマガ」などの管理がスマホから行なえるネットショップ向けの支援ツールです。自社ECサイトだけでなく、楽天・Yahooショッピング、MakeShopなどの各種ASP(カートシステム)とも連携できます。
URL | https://www.pull-net.jp/ |
住所 | 大阪府大阪市中央区南船場三丁目10番26号6F |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | PULLSHOP(労務管理・顧客対応・販売支援) |
株式会社クレフ
大阪に本社があり、東京と鹿児島県に支社のあるホームページ制作会社です。
自社開発している顧客管理システムの「クレフCRM」が認定ITツールとして登録されています。
「顧客の分析」「売上分析」「問い合わせ管理」「メルマガ管理」「仕入先管理」などが行なえます。パソコンが苦手な人でも使いやすいCRMというのがコンセプトです。
URL | https://www.clefgroup.com/ |
住所 | 大阪府大阪市中央区内本町1丁目2番15号MFCビル7F |
営業エリア | 京都府;大阪府;兵庫県;奈良県 |
認定ITツール | クレフCR(顧客対応・販売支援) |
ブレーメン株式会社
Mtame株式会社が開発するMA(マーケティングオートメーション)ツールのBowNowと連携したWebサイトの制作に対応しているホームページ制作会社です。
ブレーメンさんは集客など成果にコミットできるようなホームページ制作会社を意識しているので、今あるホームページで上手く売上が上がっていないようであれば、IT補助金の使えるMAツールと合わせて相談してみてもいいかもしれません。
URL | https://bre-men.jp/ |
住所 | 大阪府大阪市中央区島之内1丁目18番14号 美貴長堀ビル3階 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | BowNow( 顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化) |
株式会社なないろ
京都に本社を置くデジタルマーケティングとWebシステム開発の得意な制作会社です。 かなり技術よりな会社なので社内のWebエンジニアのレベルは高いです。
BOOT UPと呼ばれる自社開発のWebマーケティングツールでIT導入補助金の対象となっています。
自社のホームページの解析機能やSNSマーケティング支援などの機能が備わっています。このBOOT UPはWordPressサイトで使うことを前提としていますが、やはり中小企業はワードプレスのような汎用性の高いCMSでホームページを作っておくべきなのが個人的にもオススメなので、ワードプレスサイトにリニューアルしたい事業者は問い合わせてみてください。
URL | https://www.7-16.co.jp/ |
住所 | 京都府京都市中京区新町通三条上る町頭町112番地菊三ビル |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | BOOT UP(売上向上ソリューションの総合パッケージアプリケーション) |

株式会社バーチャルイン
ネットショップ制作に対してIT導入補助金が利用できます。ショップサーブなどのEC系ITツールを使ったネットショップに補助金が使えると思いますが、詳しくはお問い合わせください。
ちなみに最安10万円〜とIT持続化補助金の認定事業者の中でも格安な料金となっています。
URL | https://photo-o.com/shop/ |
住所 | 〒124-0024 東京都葛飾区新小岩3-8-1 モンシェール新小岩1F、 〒060-0001 北海道札幌市中央区北一条西7-3 北一条大和田ビル4階 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | – |
株式会社スタイルウェブサービス
沖縄にあるWeb制作会社で、例年はECサイトでIT導入補助金を受け付けています。クオリティは高いですが、IT導入補助金でもある程度予算が高めのECサイトを発注する事業者さん向けです。
URL | https://www.ryukyunet.biz/ |
住所 | 〒901-1304 沖縄県島尻郡与那原町字東浜14-7(東浜マリンタウン) |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | – |
株式会社グラフ
富山県に本社のあるホームページ制作会社ですが東京にも営業所があり全国対応です。オンラインでの印刷事業なども行っており、事業的にはWeb制作より印刷業がメインかもしれません。
グラフさんでは無料から使える自社開発のマーケティングオートメーションツールがIT補助金の対象となっています。シナリオ設計・コンテンツ作成・システム設計がワンストップで行えるのが強みです。
URL | https://www.e-graph.co.jp/ |
住所 | 富山県富山市中田45番地63 |
営業エリア | 全国 |
認定ITツール | マーケロボ(マーケティングオートメーションパッケージ) |
まとめ
- IT導入補助金はホームページ作成には使えるが、顧客管理などのシステムとの連携が必要
- 申請はIT導入支援事業者(ホームページ制作会社)のサポートが必須
- 2020年のIT導入補助金の補助金額は最大450万円
- IT導入補助金の難易度が上がり2019年以降は採択率は下がる
2017年にスタートしたIT導入補助金ですが、デメリットが少なくメリットが大きいので、人気が急上昇しています。申請する事業者が増えたこともあって、2019年度移行は難易度が上がってしまいましたが、2020年はコロナ対策ということもあり、2019年度よりも審査に通りやすいかもしれません。
ホームページ制作会社の中にはシステム開発が不得意な会社もあり、そういった事業者はIT導入補助金から2019年度は撤退してしまいました。それでも対応している事業者は数多く存在しますし、最大450万円の補助率はかなり魅力的なので、ぜひチャレンジしてみてください。
本当は普通のコーポレートサイトが欲しいという事業者さんでも、今後のことを考えて付け加えた方が良い機能をなどを提案してくれる事業者さんも多いです。